効果的な呼吸法
効果的な呼吸法
呼吸は普段は無意識に行っていることですので、出産時にどうして呼吸法が必要なのだろう?と思う方もいるのではないでしょうか。
例えば、皆さんがどこかに強く手をぶつけたとします。とても痛い時、皆さんの呼吸はどうなると思いますか?痛いところをぎゅっと押さえたりさすったりしながら、呼吸を止めて痛みをこらえているはずです。通常、無意識にぶつけると「痛い~!」と声を出したりしていますよね。そのような一瞬の痛みであれば、すぐに治まってまた普通の呼吸に戻りますが、陣痛の間の痛みはそうではありません。初産婦であれば約10時間くらい陣痛が続くのが普通の事です。そんな長い時間の陣痛の痛みをやわらげて、身体をリラックスさせてくれるのが、出産時の呼吸法なのです。ここでは、出産時に役立つ、正しい呼吸法を説明したいと思います。
ゆっくりとした呼吸には身体をリラックスさせる効果があり、血液の中に酸素を沢山取り入れることが出来ます。赤ちゃんはママの胎盤を通して酸素や栄養を取り入れていますから、赤ちゃんにちゃんと酸素を送ってあげることにも繋がります。逆に、はあはあと短いあえぐような呼吸は、身体を緊張させ集中力を無くしてしまいます。興奮して酸素を吸いすぎてしまうと、過換気症候群といって、体内に酸素が入り過ぎた状態となり、体の二酸化炭素が急激に減ってしまいます。そうすると息が苦しくなったり、頭がぼおっとしたり、人によっては意識を失ってしまうかもしれません。人がパニックに陥った時はこのような症状が起こり易くなります。
では、実際にパニックにならないために、どのように呼吸法を取り入れていったらいいのでしょうか。順番に見てみましょう。
- 陣痛と陣痛の合間は、普通の呼吸をして下さい。
- そして陣痛が始まったら、一回大きく深呼吸をします。
- その後、ゆっくり鼻から息を吸って、ゆっくり口から息を吐きだします。
- 3秒吸って3秒吐くようなペースで行います。
- 陣痛が終わったらまた一回大きく深呼吸をします。
陣痛がだんだん強くなってくると、自然と呼吸が早くなるかもしれません。そして陣痛の間隔がだいぶ短くなってくるでしょう。この頃の呼吸法は、まず陣痛が始まったら大きく深呼吸をします。(陣痛の前後では必ず大きく深呼吸をしましょう。)そして、ゆっくり吐く呼吸をします。(吐けば自然に吸いますから、1~2秒自分の吐く呼吸に集中して、痛みを乗り切りましょう。)
もしも妊婦さんが緊張や不安などからパニックに陥りそうな時は、傍にいるパートナーの方が、呼吸をリードしてあげるようにしてください。出産準備クラスなどで習った事があれば、出産の前に一緒に練習しておくのが良いですね。
もしも出産の当日に、どうやって呼吸したらいいのか忘れてしまっても決して慌てないでください。呼吸のペースは人によって違いますし、覚えていたとしても、まれに呼吸法がその人に適さない場合などもあるのですから。重要なのは、陣痛の間に呼吸を止めないこと、そしてゆっくりした呼吸に集中すること、出来るだけ体の力を抜くことの三つです。まずはそれらの事だけを思い出してみてください。