(続)ビタミンKとは

(続)ビタミンKとは


(続)ビタミンKとは

ビタミンK投与の最近の動向

日本では2009年に山口県で自宅分娩で出生した赤ちゃんが、ビタミンKを投与されず生後2か月で頭蓋内出血で死亡するという悲しい事件がありました。アメリカでは近年、ビタミンK投与を断るご両親が増えつつあることが問題になっており、それに伴うビタミンK 欠乏症の症例が報告されています。これは、ビタミンKの筋肉注射と白血病との間に関連がある、という論文が1990年代に出されたことによります。しかし、その後の研究では、ビタミンKの筋肉注射と白血病との間には関連がないと報告されています。また、アメリカ小児科学会は1961年よりかわらず、新生児へのビタミンK投与を推奨しています。

医学の話

少し話がそれますが、医学、科学では、一つの事実を知るためにとても多くの研究が、いろんな研究者によって行われます。 一人の人が「こうだ!」と言っただけではなく、その後、ほかの研究者が同じ結果を出せなければ、それは「偶然」ということになります。小保方さんのSTAP細胞の騒ぎの背景と同じことです。小保方さんの見つけたSTAP細胞をほかの研究者たちが再現しようとしたけれど、今のところ、できなかったわけです。

近年はインターネットの普及でとても多くの情報があふれています。そんな中、多くの論文の中のたった一つ、しかもその後の多くの研究で否定されている論文が取りざたされてしまっていることがあります。予防接種と自閉症との関係についてもその現象が起き、一つの論文が注目されてしまいました。その後、多くの研究によって否定されているにも関わらず、多くの人たちの予防接種に対する不信感をあおってしまいました。

これからお父さん、お母さんになる皆さんは、お子さんの医療に関して多くの決断をしていくことになります。病院や医師のいうこと、することに疑問をもっていただくのはとても大事なことですが、くれぐれも、正しい情報でお子さんの健康を守っていってください。医療は100%ではありませんが、今、この時代に考えうるベストを尽くそうと努力しています。

前編『ビタミンKとは』を読む

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執筆者について

Dr. Matsumoto

日本医師免許
カリフォルニア州医師免許
日本小児科学会専門医
米国小児科学会専門医
医学博士