どうして妊娠に伴って尿失禁がおきるの?

尿失禁


尿失禁

産前産後の尿失禁について

赤ちゃんをお腹に宿ってから40週、無事出産を迎えるまでにお母さんの体には様々な変化がおこります。つわりや腰痛などほとんどなかった・・と、妊娠に伴う症状があまりでないままその40週を乗り越える方もいるでしょうが、多くの方が体やホルモンの変化によりいろいろ普段経験しない妊娠特有の症状を経験されます。

産前産後の尿失禁はつわりや腰痛などに比べるとマイナーな症状かもしれませんが、あまり皆さん人には言わないからそれほど知られていないだけで、実は隠れた悩みとしてよくあることなのです。ある研究においては妊娠中の尿失禁率は60%強、産後直後から2か月以内の尿失禁率は50%弱といわれています。ここでは産前産後のお母さんたちに起こりえる尿失禁のことについてお話していきたいと思います。

 

どうして妊娠に伴って尿失禁がおきるの?

尿失禁がおこりやすい時期は妊娠初期と妊娠後期といわれています。その理由は子宮の成長と膀胱の位置関係によります。

まず妊娠初期ですが、赤ちゃんの成長により子宮が少しずつ大きくなります。その大きさと重量の増加に伴い、直接膀胱や尿管を刺激・圧迫し尿失禁が起こります。

妊娠中期は子宮が赤ちゃんの成長とともに大きくなり上方へと移動します。ただ上方へ移動するため骨盤内へ少しゆとりができ、この時期の失禁頻度は減るといわれています。

そして妊娠後期に入ると赤ちゃんのさらなる成長に伴い、子宮が骨盤内へ降りてき、膀胱への圧迫が加わり妊娠初期よりもさらに失禁の割合が増えると言われています。

 

尿失禁には種類があるの?

尿失禁にはいくつか種類がありますが、お産に伴って生じる尿失禁は以下の二つに分かれます。

<腹圧性尿失禁>

せきやくしゃみ、笑ったり走ったり飛んだりで腹筋に力が加わった際に起きる尿失禁が腹圧性尿失禁です。気のせいかな・・?と思うレベルで少し下着を濡らしてしまう場合もあれば、大量にジャーっと漏れる場合もあります。妊娠出産に伴う尿失禁の大半はこの腹圧性尿失禁です。

<切迫性尿失禁>

昨今では切迫性尿失禁は過活動膀胱やグラグラ膀胱ともいわれており、膀胱が過敏で不安定になった際に膀胱が勝手に収縮してしまい失禁が起きるものを指します。

 

どんな人に尿失禁はおこりやすい?

妊娠そのものが尿失禁のリスクを高くしますが、その中でもとくに高齢妊婦さん、もともと糖尿病のある方、肥満の方、すでに経腟分娩(普通分娩)を経験されている方などのリスクはさらに高くなるといわれています。

産後に起きる尿失禁ですが、帝王切開の場合は経腟分娩ほど尿失禁が起こる可能性は高くありませんが、それでも手術中の骨盤内の組織の外傷や神経損傷、恥骨神経へのダメージなどにより尿失禁の起こる可能性はあります。またその際に起こる尿失禁はとりわけもとに戻るまで長期間かかるともいわれています。

 

尿失禁への対応はどうしたらいいの? 

腹圧性尿失禁であればまず骨盤底筋群運動を試みましょう。骨盤底筋群とは尿道・膣・肛門のあたりを支えるハンモック状に横たわっている筋肉群です。どこかわからない方は排尿の途中に一度尿を止めてみてください。その際に使っている筋肉が骨盤底筋です。

この筋肉を鍛えることで腹圧性尿失禁の改善はかなりの割合でみられるといわれています。もちろん数日で変化が見えるわけではありませんが、最低3カ月ぐらい続けることで効果があらわれてきます。この地味な運動を続けるには根気が必要ですが、軽症の尿失禁なら3人中2人の割合で改善しますので、ぜひ家庭でできるこの運動をまず試してみてください。

骨盤底筋群運動のポイントは骨盤底筋のしめ方を正しく習得し、根気よく続けることです。よくある間違いは骨盤底筋運動をしているつもりで実は腹筋運動をしていたというケースです。どこの筋肉を使って運動しているかを意識することが大切です。

また切迫性尿失禁の方はこの運動をすることで直接効果が現れるわけではありませんが、漏れそうになった際にきゅっと骨盤底筋をしめることができるという点で、トイレに行くまでの時間を延ばすことができ、失禁を防ぐのに間接的に役に立ちます。

 

具体的な骨盤底筋運動のやり方は?

いろいろな骨盤底筋運動の種類、やり方はありますが、基本はまず全身をリラックスさせて、肛門や尿道・膣だけを意識しきゅっと5秒間強くしめ、そしてゆっくりゆるめます。これを1セッションにつき20回ほど繰り返し、朝と寝る前の2回、できれば朝・昼・夕の3回か、寝る前も含めた1日4回のセッションを毎日行います。

姿勢は立ったままでも座った姿勢でもできます。運動の時間がなかなかとれない方もいるかと思いますが、あえて運動の時間を確保しなくても、キッチンに立って夕飯の支度をしながらでも意識をすることでこの運動を行うことができます。

インターネット上には日本語でも英語でもたくさんの「骨盤底筋群運動」、もしくは英語で「Kegel exercise」の情報や映像がありますので、やってみようという方は一度調べてみてください。そしてご自分のスタイルにあった長く続けられそうな運動のやり方を選ばれるといいかと思います。

 

出産後いつまでたっても続く、状況がひどくなってるんだけど・・

骨盤底筋運動はやってみたけど、いつまでも尿失禁は続くし、状況は悪化している・・・という方は一度専門家に相談されるといいかと思います。膀胱の緊張を緩めリラックスするお薬もあります。内科医の先生に相談してみてください。また重症の場合には手術をして尿失禁を治すという方法もあります。この場合は婦人科や泌尿器科の先生のところに行くことをお勧めします。

 

最後に・・

ここまで読まれて「産前産後の体の変化では尿失禁がおきやすくなっているんだ」ということが少しわかっていただけたでしょうか。そして「それを改善する対応策もいろいろあるんだ」ということもあわせて理解していただけたら幸いです。

尿失禁に悩まれている方、「これは自分だけではない、とてもよくあることなんだ・・」と気持ちを前向きにお持ちくださいね。必要であれば専門家や医療機関の助けを得て状況の改善をはかってみてください。

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執筆者について

Kiyoko Kashiwai

日本正看護師・保健師
米国正看護師
米国皮膚・排泄ケア認定看護師
米国成人・老人ナースプラクティショナー