ビタミンDとは

ビタミンD


ビタミンD

ビタミンDとは

脂溶性ビタミンといって、あぶらに溶けるタイプのビタミンの一つです。植物に含まれるビタミンD2と動物に含まれるビタミンD3とがあります。

ビタミンDには、腸、腎臓、骨に働きかけてカルシウム濃度を調節する作用があります。また免疫反応への関与も多く報告されており、ビタミンというよりはホルモンのようは働きをする、大変重要な栄養素です。

ビタミンDをとるには、食事から摂取するルートと皮膚で合成するルートがあります。紫外線を浴びると、人間の皮膚でコレステロールからビタミンDのもととなる物質が合成され、その後、肝臓、腎臓で代謝、活性化されて体内で活性型のビタミンDとして利用されます。食事から摂取されたビタミンDも肝臓、腎臓を経て、利用されます。

ビタミンDが不足すると

カルシウムの吸収が低下し、子供ではくる病、大人では骨軟化症になる危険があります。くる病とは、骨の石灰化障害によってやわらかい骨ができ、成長障害や骨の変形がおきる病気です。

くる病といえば、栄養不足の発展途上国の子供でみられ、日本ですと戦後の栄養不足でよくみられました。先進国ではあまり見ることのないまれな病気ではありますが、近年、日本を含め先進国の母乳栄養児に増加傾向にあります。くる病に至る前の段階、ビタミンD欠乏症や頭蓋癆といった状態はもっと多くの乳児に起こっていると考えられています。

その主な原因として、

1) 母乳に含まれるビタミンDの量が少ない ー ビタミンDの摂取不足
2) 紫外線を避ける生活、日照時間の少ない地域に居住 ー ビタミンDの合成不足

があげられるます。その他、母乳を作るお母さんのビタミンDが不足しており母乳中のビタミンDがさらに少ない、離乳食導入の遅れによってビタミンD含有食品の摂取が遅れる、なども考えられます。

ビタミンD合成に紫外線が重要とわかっていても、紫外線による健康被害を考えたら、できる限り避けたいものです。また、日本人を含め有色人種では皮膚でのビタミンD合成が少なく、ビタミンD欠乏症に陥る危険がもっと高くなります。

ビタミンDのサプリメント

そこで、アメリカ小児科学会ではビタミンDのサプリメントを乳児に勧めています。2008年に出されたガイドラインでは2003年のガイドラインよりも大幅に推奨量を増やしました。

乳児を含めすべての子供で1日少なくとも400 IUのビタミンDが必要です。

アメリカで販売されている通常の粉ミルクはビタミンDが強化されいるため、1日1リットル飲めば、赤ちゃんに十分なビタミンDを与えることができます。

よって、

1) 完全母乳栄養児
2) 混合だけど粉ミルクの量が1日1リットルより少ない乳児
3) 人口栄養児だけどまだ1日1リットル飲まない乳児(最初の1~3か月くらい)

には、1日400 IUのビタミンDをサプリメントとして飲むことが勧められています。開始時期は生後数日が勧められており、アメリカでは赤ちゃん用ビタミンDは処方箋なしで薬局で買うことができます。詳しくは、赤ちゃんの小児科医と相談してください。また、過剰投与にならないように用法、用量に気を付けましょう。

生後12か月ころになって、ビタミンD強化の牛乳を飲むようになり食事も安定して食べるようになると、十分なビタミンDをとることができるのでサプリメントは必要なくなります。アメリカではほとんどの牛乳にビタミンDが加えられているので特別な牛乳を飲む必要はありません。

日本でも、子供へのビタミンD補強は昔から重視されていて、肝油ドロップというビタミンAやDが多く含まれるサプリメントが幼稚園で配られたりしていました。

最後に

ビタミンD含有量が少なくても、赤ちゃんにとって母乳にまさる栄養はないという事実はかわりません。紫外線が安全ではなくなってしまった現代ですので、その分、ビタミンDを補っていきましょう。

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執筆者について

Dr. Matsumoto

日本医師免許
カリフォルニア州医師免許
日本小児科学会専門医
米国小児科学会専門医
医学博士