違いのわかる赤ちゃんの舌
違いのわかる赤ちゃんの舌
授乳の際の赤ちゃんは、本能的にママの乳首か哺乳瓶のものかを判断して、自然と吸い方を調整しています。赤ちゃんがミルクを強く欲しておっぱいを吸っている時の力は、それをまだ経験した事がない人が想像するよりもかなり強力なものです。例えて言うと、大人が頑張って吸わなければ中々口に入ってこない位の固めのマックシェイクを飲めてしまう(笑)… 、それ位の吸引力はあるかもしれません。
そして、赤ちゃんにとって、哺乳瓶の乳首とママの乳首では、吸う時の頑張り度も飲み方も違ってきます。哺乳瓶の方は、赤ちゃんが比較的楽に飲めるように工夫されて作られているタイプもあり、赤ちゃんが弱く吸っても楽に飲めてしまいます。ところが、ママの乳首は(個人差にもよりますが)そんなに楽には飲めません。小さなお口を大きく開けて、しっかり乳輪まで咥えて、舌とあごの筋肉を使って頑張って飲む必要があるのです。
生まれたての赤ちゃんは、まだ自分の顔や体をうまく動かす事が出来ませんので、ママのおっぱいを吸うベストポジションを自分からは作れません。時には、口に触れた乳首を、触れた時の状態のまま咥えて飲もうとしたりもします。乳首が口の中までしっかり届いていなくても、赤ちゃんとしてはただただミルクを飲みたい一心で吸おうとするのです。そのような時でも、(よく出る人口の乳首を装着した)哺乳瓶の場合は、どの位置で咥えてもミルクを飲むことが出来ますから、おちょぼ口で飲んでもあっという間に十分な量を飲むことが出来るのです。一生懸命吸っても吸わなくても、ミルクはボトルから楽にお口の中に入ってきます。
では、頑張って飲む必要のあるママのおっぱいの場合はどうなるでしょう?赤ちゃんは、ママの乳首が口に触れた瞬間に、やはり一気に飲もうとしますが、哺乳瓶と同じような吸い方をしてもなかなかうまくいきませんので、飲みたくても飲めない…ということになります。特に出産後すぐに哺乳瓶で授乳をおこなって、それをしばらく続けていると、哺乳瓶の乳首にすっかり慣れてしまった赤ちゃんは、ママの乳首を上手く咥えられなくなったり、ママの乳首を嫌がるようになる場合もあります。
そこまでではなくとも、哺乳瓶の乳首に慣れた赤ちゃんは、ママが与えようとするおっぱいの乳首が(たとえ先っぽだけであっても)おちょぼ口が届いたとたんに一生懸命渾身の力で吸おうとしますから、もしママが間違った授乳の仕方をしてしまうと、本来デリケートな乳首をすぐに痛めてしまうことになります。また、そのまま正しい咥えさせ方をさせないまま授乳を続けていくと、赤ちゃんは、ミルクが十分に飲めていない状態になって、体重が増えていかない(もしくは減ってしまう)原因にも繋がります。
>ラッチについては、もみじペディア|正しいおっぱいの咥えさせ方って?(Latch on ラッチオン)をご覧ください。
母乳育児は長く続けていくものですから、授乳が苦痛にならない為にもまずは正しいラッチ(咥えさせ方)を覚えて、赤ちゃんがママのおっぱいを上手に飲めるようになった上で、哺乳瓶と併用していくと良いでしょう。哺乳瓶を使い始める時期の目安は、母乳育児が軌道に乗ってきた3-4週間頃と考えてみてください。
では、どんな哺乳瓶を購入するのが良いか…?ですが、まず哺乳瓶の乳首は月齢に合ったものを購入するようにして下さい。一生懸命吸わせるために、わざと小さい穴の乳首を買う人がいますが、私はお勧めしません。他にも、ママの乳首に近い形にしているものや、空気が入りにくい工夫をしている哺乳瓶もあります。(げっぷを出しにくい赤ちゃんには空気が入りにくいのは都合がよいかもしれませんね。)
もしも出産後から哺乳瓶を全く使わないでいて、3-4か月過ぎてから使い始めようとする場合、今度は哺乳瓶を拒否して飲まない赤ちゃんもいます。デイケアなどに預ける場合もありますし、ママが出かけたり具合が悪い時に、赤ちゃんが哺乳瓶から飲めるのはとても助かります。それには赤ちゃんが哺乳瓶に慣れておく必要がありますので、おっぱいを上手に飲めるようになったら、1日1回は哺乳瓶を使う練習をすると良いでしょう。生後1-2か月くらいの赤ちゃんであれば、ほとんどは哺乳瓶を嫌がらずに飲む事が出来ます。